「会社を設立したいんだけど、株式会社と合同会社どっちがいいの?」
「株式会社と合同会社の違いは?」
起業するとき、個人事業から法人成りするとき、不動産所有の会社を作るとき、いろいろな場面で法人設立を検討されます。法人設立といっても、法人の形態種類も様々で、一番有名な株式会社のほかにも、合同会社、合名会社、合資会社、一般社団法人、一般財団法人、医療法人、NPO法人・・・などなど多くの会社形態があります。ちなみに弊所で作成する法人だと8割が株式会社、1割が合同会社、その他が1割ということで圧倒的に株式会社の設立割合が多いです。
弊所で会社設立する際によく聞かれるのが、
「株式会社と合同会社って聞いたことあるけど、どっちがええの??」
という質問です。皆さん合同会社があるっていうのは知っているけど、中身の違いがわからないという方が大半です。この記事では、株式会社と合同会社の違いについて説明していきます。
この記事の目次は以下のとおりです。
- 株式会社と合同会社の構造の違いは?
- 株式会社と合同会社の役員について
- 設立費用の違い
- 設立費用以外の違い
- 合同会社を株式会社に途中で変更できるか?
- 何を基準に選択するか
株式会社と合同会社の構造の違いは?
一番大きな違いとして、会社の所有形態が異なります。
株式会社の所有者は株を持っているいわゆる株主です。この株主と業務を執行する取締役は、別人格(同じの場合もある)であり、「所有と経営の分離」なんて言われます。一方、合同会社は、所有と経営が分離されておらず、「出資した人自身が経営する」法人形態となります。すなわり株式会社でいう株主=取締役みたいな感じです。この所有構造の違いにより、会社株式(持分)の流通性や、意思決定の構造、スピードに違いが出てきます。また合同会社は、先述のとおり「株式」という概念がありません。このため、株式発行による資金調達を行ういわゆるスタートアップには、この合同会社が適していません。ご自身の将来的な資金調達も含めて会社構造を選んでいく必要があります。
株式会社と合同会社の役員について
株式会社と合同会社の構造が違うという話ですが、実は株主・役員になる方の呼び方も異なります。
役員の呼び方一覧は以下の通りです。
株 式 会 社 | 合 同 会 社 | |
会社所有(株式・持分) | 株 主 | 社 員 |
役 員 | 取締役 | 業務執行社員 |
代表者 | 代表取締役 | 代表社員 |
上記の通り、合同会社では代表者は代表取締役ではなく「代表社員」が正確な呼び名となります。社員といっても、一般的に想像される雇用されている「社員」という意味ではないので、このあたりがややこしいところです。
設立費用の違い
株式会社と合同会社では設立費用も大きく違います。実際、弊所で株式会社か合同会社で悩まれる方は、費用を気にして合同会社を選択する人もいます。もちろん今後の会社運営上、合同会社で問題ないことも良くありますし、費用かかっても株式会社にしましょうと提案するケースもございます。費用の違いは以下のとおりです。
株式会社 | 合同会社 | |
登録免許税 | 最低15万(資本金×7/1000) | 最低6万(資本金×7/1000) |
公証人定款認証手数料 | 3万~5万程度 | 不要 |
定款印紙 | 4万(電子定款であれば不要) | 4万(電子定款であれば不要) |
司法書士報酬 | 10万程度(事務所による) | 8万程度(事務所による) |
上記の通り、費用には差がでてきます。司法書士報酬は事務所によって様々なため一概には言えませんが、実費だけでも少なくとも8万円違いが出てきます。司法書士報酬も定款認証が不要な分、株式会社に比べて費用が少ない司法書士事務所が多いように感じます。もちろん今後運営していく会社なので、費用だけで決めることはオススメしませんが、ご参考ください。
設立費用以外の違い
株式会社と合同会社では、上記設立費用以外にも多くの違いがありますので、簡単にまとめます。
①意思決定や会社構造の自由度
会社の意思決定や会社構造(定款)の自由度でいうと、合同会社の方が自由度が高いように感じます。先述のとおり、株式会社は所有と経営が分離しているため、会社の重大な意思決定には株主総会の決議を経なければならないことも多いため、時間がかかるケースも多いです。対して合同会社の場合は、株式(持分)と経営が分離していないため、業務の意思決定が素早く行うことが可能です。
②決算公告の義務
株式会社は、毎年決算公告を行う必要があります。根拠条文は以下の通りです。
(計算書類の公告)
第四百四十条 株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、その公告方法が第九百三十九条第一項第一号又は第二号に掲げる方法である株式会社は、前項に規定する貸借対照表の要旨を公告することで足りる。
3 前項の株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、第一項に規定する貸借対照表の内容である情報を、定時株主総会の終結の日後五年を経過する日までの間、継続して電磁的方法により不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置をとることができる。この場合においては、前二項の規定は、適用しない。
4 金融商品取引法第二十四条第一項の規定により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない株式会社については、前三項の規定は、適用しない。
上記の通り、株式会社は公告義務があります。しかし、合同会社にはこの公告義務はないです。そのため公告の費用等もかかりません。
③役員の任期
株式会社は、例えば取締役には役員の任期というものが存在します。任期が来たら株主総会にて、もし構成員が変わらなくても改選の手続きを行い、それに基づく登記手続きを行う必要があります。株式会社の取締役の任期は、原則2年であり、会社形態によりますが最長10年まで伸ばすことができます。一方、合同会社にはこういった役員任期は原則ありません。そのため、改選及び登記手続きも不要なので、その分コストを抑えることができます。
④株式(持分)の構造による違い
株式会社の場合は、株式に流通性があるため、例えば第三者に株式発行を行い、増資し資金調達を行うことが可能です。一方、合同会社ではその持分に流通性がないため、第三者に増資してもらうといった資金調達を行うことはできません。上場を考える場合は、そういった点から株式会社しか上場は認められていません。そのため資金調達方法は株式会社に比べて限定的であるといえるかと思います。
また、株式は出資割合に応じて、利益分配が行われるのが原則ですが、合同会社の場合は、出資割合による必要がなく、自由に定めることができます。
⑤対外的な信用度
一般的には、合同会社より株式会社の方が法人としての信用度は高いといわれることが多いです。これはあくまで一般的に株式会社の方が合同会社の方が資産規模の多い法人が多いためだと思われます。対外的な見た目として、取引先等から見ても株式会社の方が名が通っているので、信用してくれることが多いという話も聞きます。逆にいうと、対外的な取引が少ない会社なのであれば合同会社でも問題ないということも言えます。
合同会社を株式会社に途中で変更できるか?
合同会社を株式会社に途中で変更できるか?こちらは結論として「可能」です。
会社法では組織変更という手続きが認められており、いわゆる持分会社(合同会社、合資会社、合名会社)→株式会社への変更が可能です。ちなみに逆(株式会社から持分会社)も可能です。
ただ組織変更には、債権者保護手続きなど経なければならない手続きも多く、もちろん費用も掛かってきます。「途中から変更できるからとりあえず合同会社でいいや」ではなく、長い目でみて、適している法人を選択することが総合的なコストは安くすむことが多いです。
いかがでしたでしょうか?最初の法人選択はとても悩みますよね?
弊所では、お客様のお話をヒアリングし、最適な法人形態を提案させていただきます。
ぜひお気軽にご相談くださいね。
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