みなし解散を防ぐ「まだ事業を廃止していない」旨の届出は、法務局から届いた通知書の下段にある届出書に必要事項を書き、管轄の法務局(登記所)へ郵送または持参して出します。令和8年度の期限は令和8年12月15日(火)です。また、代理人が出すこともできますが、その場合は委任状が必要です。ただし、届出をしても登記の義務はなくなりません。たまっている登記は、別に申請する必要があります。
そもそも、この届出はみなし解散とどう関係する?
この届出は、「みなし解散」を防ぐためのものです。みなし解散とは、長いあいだ登記をしていない会社・法人を、法務局が「活動していない」とみなし、職権(法務局の判断)で解散の登記をする制度です。
対象になるのは次の会社・法人です。
- 株式会社:最後の登記から12年が経っている(会社法472条)
- 一般社団法人・一般財団法人:最後の登記から5年が経っている(一般法人法149条・203条)
令和8年度は、令和8年10月15日に法務大臣が官報(国が発行する公告用の文書)で公告しました。あわせて、対象の会社には管轄の法務局から通知書が送られています。
12月15日までに届出も必要な登記の申請もしないと、12月16日付けで解散したものとみなされ、登記官が解散の登記を入れます。つまり、みなし解散を防ぐ届出は、「この会社は今も活動しています」と法務局に伝えるための手続きです。
参考:法務省「休眠会社・休眠一般法人の整理作業(令和8年度)」
実際にはどんな相談がある?
当事務所に寄せられたご相談をご紹介します(個人が特定されないよう、内容を一部変えています)。
通知が届いたけれど、どう対応すればいい?
「法務局からみなし解散に関する通知が届いた。どう対応すればよいか」というご相談でした。
当事務所では、まず「まだ事業を廃止していない」旨の届出を行いました。そのうえで、懈怠されていた(しなければならないのに放置されていた)登記を申請し、登記簿を最新の状態にするサポートを行いました。
このように、届出でみなし解散を防ぐだけで終わらせず、登記まで整えることがこのケースのポイントです。
みなし解散を防ぐ届出はどんな流れで出す?
みなし解散を防ぐ届出の流れは次のとおりです。なお、期限までに必要な登記(役員変更など)を申請する方法でも、みなし解散は防げます。
- 通知書を確認する:宛先の会社名・本店と、提出先の法務局を確かめます。
- 届出書に記入する:通知書の下段にある「届出書」に、所定の事項を書きます。不備があると届出として認められないことがあるため、正確に記入します。
- 代理人が出す場合は委任状を付ける:司法書士などに任せる場合は、代表者からの委任状が必要です。
- 管轄の法務局へ郵送または持参する:12月15日の期限に間に合うよう、余裕をもって出しましょう。
- たまっている登記を申請する:届出とは別に、役員の変更(重任を含む)などの登記を済ませます。
通知書が手元にないときはどうする?
通知書を使えない場合は、用紙に次の事項を書いて提出できます(会社法施行規則139条)。
- 商号(会社名)、本店、代表者の氏名と住所
- 代理人が出すときは、その氏名と住所
- まだ事業を廃止していない旨
- 届出の年月日
- 提出先の登記所の名称
なお、代表者の押印が必要かどうかは、提出前に管轄の法務局へ確認すると安心です。
また、本店を移したのに登記していないなどの理由で、通知書が届かないことがあります。ただし、通知書が届かなくても、期限までに届出か登記をしなければ解散したものとみなされます。そのため、心当たりがある場合は、登記事項証明書(登記の内容を証明する書類)で最後の登記日を確認しましょう。
どんな点に注意すればいい?
届出をしたら、過料の通知が来ることがある?
はい、あります。過料とは、法律上の義務を守らなかったことに対する、行政上の金銭的な制裁です。届出や登記をしても、本来の時期に登記をしていなかった事実は消えません。そのため、裁判所から代表者に100万円以下の過料が科される可能性があります(会社法976条)。また、届出のあとに過料の通知が届いても、あわてず内容を確認しましょう。実際の金額は個別に決められます。
みなし解散の届出をすれば、登記はしなくていい?
いいえ。これはよくある勘違いです。届出で防げるのは、今年度のみなし解散だけです。一方で、登記の義務は残っています。届出だけで必要な登記をしないと、翌年度もまた整理作業の対象になります。
届出の期限を過ぎてみなし解散になったらどうなる?
解散したものとみなされ、登記簿に解散の登記が入ります。ただし、3年以内であれば、株主総会の特別決議(原則として、議決権の過半数を持つ株主が出席し、その3分の2以上が賛成する決議)で会社を継続できます。そして、継続したときは、決議から2週間以内に継続の登記を申請します。
専門家に相談したほうがいいのはどんなとき?
次のような場合は、早めに司法書士(登記の専門家)への相談をおすすめします。
- 届出書の書き方が分からない、期限までに余裕がない
- 届出とあわせて、たまっている登記もまとめて済ませたい
- 役員が何年も変わっておらず、どの登記が必要か分からない
- 本店の移転など、役員以外にも登記していない変更がある
- すでに解散の登記が入っている
- 株主の間で意見が対立している、税金面の不安がある
なお、揉め事や税金が関わる場合は、税理士・弁護士と連携して対応します。
司法書士法人SORA(岡山市)では、届出の代理から、懈怠されている登記の申請までをお手伝いしています。ご相談の際は、通知書と登記事項証明書をお手元にご用意ください。
結局、何をすればいい?
- 届出は、通知書下段の届出書に記入し、管轄の法務局へ郵送または持参する
- 令和8年度の期限は令和8年12月15日(火)
- 代理人が出す場合は委任状が必要
- 届出のあと、過料の通知が届くことがある
- 届出をしても登記の義務は残るため、たまっている登記も申請する
つまり、届出は「解散を防ぐための応急処置」、登記は「登記簿を正しい状態に戻す本来の手続き」と考えると分かりやすいです。通知が届いて不安なときは、岡山の地元の司法書士としてお気軽にご相談ください。
よくある質問は?
Q1. 通知書をなくしてしまいました。届出はできますか?
できます。用紙に、会社名・本店・代表者の氏名と住所、まだ事業を廃止していない旨、届出の年月日、提出先の登記所を書いて提出します。代理人が出す場合は、その氏名と住所も書きます。
Q2. 届出を出せば、もう何もしなくていいですか?
いいえ。届出で防げるのは今年度のみなし解散だけです。登記の義務は残るため、役員変更などの登記を別に申請します。登記をしないと、翌年度も対象になります。
Q3. 届出を司法書士に頼むことはできますか?
できます。代理人による届出は認められており、その場合は委任状を付けます。当事務所でも、届出を行ったうえで懈怠されていた登記を申請し、登記簿を最新の状態にした例があります。
※事例は実際のご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一部変更しています。
この記事の監修者
柚木 徹也(ゆのき てつや)
司法書士法人SORA 代表/司法書士
- 岡山県司法書士会所属 第861号
- 簡裁訴訟代理認定番号 第1112075号
- 得意分野:相続・遺言・不動産取引
香川大学法学部法学科卒業。2011年に司法書士試験に合格し、神戸の司法書士法人で相続手続き・不動産登記を中心に、商業登記・債務整理・遺言執行など幅広い業務に携わる。2016年に地元へ戻り個人事務所を開設、2021年8月に司法書士法人SORAを開設。「士業に相談するハードルを下げたい」という思いから、税理士など他士業と連携し、相談から手続きまで伴走できる体制づくりに取り組んでいる。
司法書士法人SORA|〒700-0977 岡山市北区問屋町11-106 TOIYACHO BOOTH BLD 306号|TEL 086-242-6866
代表プロフィール・事務所概要を見る