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相続人の調べ方は?戸籍の集め方・広域交付の注意点を司法書士が解説

相続人は、亡くなった方の「出生から死亡までの戸籍」を集めて調べます。亡くなった方のことを、法律では「被相続人」といいます。相続人の範囲は、民法887条・889条・890条で決められています。その親族関係を公的に証明できる書類が、戸籍です。

ご家族の間では「相続人はこの人たち」とわかっているかもしれません。しかし、相続登記や預貯金・株式の名義変更では、通常は戸籍での証明を求められます。2024年3月からは戸籍の「広域交付」が始まり、以前より集めやすくなりました。

そもそも誰が相続人になる?

相続人とは、法律で遺産を受け継ぐと決められている人のことです。民法では、次のように相続人の順番が決まっています。

  • 常に相続人:配偶者(夫・妻)(民法890条)
  • 第1順位:子(子が先に亡くなっている場合は孫)(民法887条)
  • 第2順位:父母・祖父母などの直系尊属(民法889条1項1号)
  • 第3順位:兄弟姉妹(先に亡くなっている場合はおい・めい)(民法889条1項2号・2項)

直系尊属とは、自分より上の世代の血族のことです。

先の順位の人がいれば、後の順位の人は相続人になりません。また、本来相続人になるはずの人が、先に亡くなっていることもあります。その場合、その人の子が代わりに相続します。これを「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」といいます。

なぜ「出生から死亡まで」の戸籍が必要なの?

戸籍は、結婚や本籍の移動(転籍)のたびに新しく作られます。法律改正で作り直されることもあります。新しい戸籍には、前の戸籍の情報がすべて書き写されるわけではありません。

最新の戸籍だけでは見えない子がいることもあります。たとえば、以前の結婚で生まれた子や、養子・認知した子です。認知した子とは、婚姻外で生まれ、父親が自分の子と認めた子のことです。そのため、古い戸籍までさかのぼって確認する必要があります。

古い戸籍には、「除籍謄本」や「改製原戸籍」もあります。除籍謄本(じょせきとうほん)は、全員が抜けて閉じられた戸籍の写しです。改製原戸籍(かいせいげんこせき)は、法改正で作り直される前の戸籍です。これらもすべて集めることになります。

どんなときに相続人調査が難しくなる?

疎遠で連絡先がわからない相続人がいる場合は?

当事務所にも、長く疎遠で連絡先のわからない相続人がいる、というご相談があります。このような場合でも、戸籍を調べれば、その方がご存命かを確認できます。さらに、住所地まで確認できることもあります。

住所は、「戸籍の附票(ふひょう)」で確認するのが一般的です。附票は、戸籍とセットで管理されています。戸籍の附票とは、その戸籍に入っている間の住所の移り変わりを記録した書類です。

お子さんのいない方が亡くなった場合は?

子も父母・祖父母もいない場合は、兄弟姉妹が相続人になります。このときは、亡くなった方の戸籍だけでは足りません。父母それぞれの出生から死亡までの戸籍も必要になります。そのため、集める量が大きく増えます。

前の結婚の子や、養子がいる場合は?

前の結婚で生まれた子も、今の家族の子と同じく相続人です。ご家族が存在を知らなかった相続人が、戸籍を集めて初めてわかることもあります。

相続人がすでに亡くなっている場合は?

子が先に亡くなっていれば孫が代襲相続します。また、相続手続きの前に、相続人が亡くなることもあります。これを「数次相続(相続が重なって起きること)」といいます。この場合はその方の相続人も調べる必要があり、関係者が一気に増えます。

戸籍はどうやって集める?

一般的には、次の順番で進めます。

  1. 亡くなった方の最後の戸籍を取る:死亡の記載がある戸籍です。本籍地の市区町村で取得します。
  2. 出生までさかのぼる:戸籍に書かれた「前の本籍(従前戸籍)」が手がかりです。一つ前の戸籍を順に取得します。
  3. 相続人全員の現在の戸籍を取る:相続人が今も生きていることを確認するためです。
  4. 必要に応じて住所を確認する:戸籍の附票や住民票で、相続人の住所を確認します。
  5. 相続関係を一覧にまとめる:「相続関係説明図」を作ります。法務局の「法定相続情報証明制度」を利用する方法もあります。

法定相続情報証明制度とは、相続関係を法務局が一覧図にして証明してくれる制度です。集めた戸籍一式を法務局に提出して利用します。一覧図の写しは、各種の相続手続きで戸籍の束の代わりに使えることが多くあります。そのため、窓口ごとに戸籍を出し直す手間を減らせます。

広域交付で何が変わった?

2024年3月1日から、戸籍の「広域交付」が始まりました。本籍地以外の市区町村の窓口でも、戸籍をまとめて請求できる制度です。本籍地が全国各地にあっても、1か所の窓口で請求できます。

ただし、次のような制限があります。

  • 対象は本人・配偶者・父母や祖父母(直系尊属)・子や孫(直系卑属)の戸籍のみ
  • 窓口で本人が請求する必要があり、郵送や代理人による請求はできない
  • 顔写真付きの本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証など)が必要
  • 兄弟姉妹の戸籍、戸籍の附票、コンピュータ化されていない一部の古い戸籍は対象外
  • 本籍地への確認などで、交付まで時間がかかる場合がある

相続人調査で気をつけることは?

「相続人は〇人です」と伝えるだけではダメ?

よくある勘違いがあります。「相続人が誰かは家族がわかっているから、口頭で伝えれば足りる」というものです。相続手続きでは、戸籍の提出を求められるのが一般的です。法務局(相続登記)や金融機関、証券会社なども同様です。相続人の側から相続関係をお伝えいただくだけでは足りません。

古い戸籍は読める?

昔の戸籍は手書きで、くずし字や旧字体が使われていることがあります。読み違えると、相続人の見落としにつながりかねません。

期限との関係は?

相続放棄(相続人にならないための手続き)は、家庭裁判所へ申し立てて行います。期限は原則として3か月以内です(民法915条)。自分が相続人になったことを知った時から数えます。また、2024年4月1日から相続登記が義務化されました。相続で不動産を取得したことを知った日から、3年以内の申請が必要です。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。過料とは、行政上の罰金のようなものです。相続人調査に時間がかかると、こうした判断や手続きが遅れます。そのため、早めに着手することが大切です。

どんなときに専門家へ相談したほうがいい?

次のような場合は、司法書士への相談をご検討ください。

  • 兄弟姉妹やおい・めいが相続人になるなど、集める戸籍が多い
  • 疎遠で連絡先のわからない相続人がいる
  • 代襲相続や数次相続が起きていて、相続関係が複雑
  • 古い戸籍が読めない、どこまで集めればよいかわからない
  • 平日に役所の窓口へ行く時間がとれない
  • 不動産があり、相続登記まで進める必要がある

司法書士は、ご依頼を受けた業務に必要な範囲で、戸籍を取得できます。これを「職務上請求」といい、資格者が業務のために戸籍を請求できる仕組みです。相続人調査から法定相続情報の取得、相続登記まで、まとめてお手伝いが可能です。

なお、相続税の申告が必要な場合や、相続人の間で争いがある場合もあります。その場合は、税理士・弁護士と連携して対応します。

結局、相続人調査はどう進めればいい?

相続人は、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集めて確認します。あわせて、相続人全員の現在の戸籍も集めます。ご家族の認識だけでは手続きは進まず、戸籍による証明が出発点になります。

広域交付によって、ご自身で戸籍を集めやすくなりました。一方で、兄弟姉妹の戸籍や附票は対象外であるなど、制度の限界もあります。疎遠な相続人がいる場合も、戸籍をたどれば生死や住所を確認できることがあります。

「どこまで集めればいいかわからない」「時間がとれない」という方へ。岡山市の司法書士法人SORAへ、お気軽にご相談ください。

ほかによく聞かれることは?

Q1. 戸籍集めにはどのくらい時間がかかる?

本籍地の数や、郵送で請求するかどうかによって大きく変わります。広域交付を使えば、窓口でまとめて請求できます。ただし、本籍地への確認などで、当日中に交付されない場合もあります。余裕をもって早めに始めることをおすすめします。

Q2. 家族が代わりに広域交付で取ってもらうことはできる?

広域交付は、窓口で本人が請求する場合に限られます。委任状による代理人請求や郵送請求はできません。代理で取得したい場合は、本籍地の市区町村へ請求する方法があります。従来どおり、委任状を付けて請求できます。

Q3. 連絡先のわからない相続人の住所は調べられる?

戸籍をたどると、その方の本籍がわかります。そのうえで戸籍の附票を取得すれば、住所地を確認できる場合があります。ただし、他の方の附票を請求するには、相続手続きのためなど正当な理由が必要です。調べ方に迷ったら、専門家にご相談ください。

※事例は実際のご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一部変更しています。

この記事の監修者

柚木 徹也(ゆのき てつや)
司法書士法人SORA 代表/司法書士

  • 岡山県司法書士会所属 第861号
  • 簡裁訴訟代理認定番号 第1112075号
  • 得意分野:相続・遺言・不動産取引

香川大学法学部法学科卒業。2011年に司法書士試験に合格し、神戸の司法書士法人で相続手続き・不動産登記を中心に、商業登記・債務整理・遺言執行など幅広い業務に携わる。2016年に地元へ戻り個人事務所を開設、2021年8月に司法書士法人SORAを開設。「士業に相談するハードルを下げたい」という思いから、税理士など他士業と連携し、相談から手続きまで伴走できる体制づくりに取り組んでいる。

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