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認知された子どもも相続人になる?相続分・遺留分と手続きの流れは?

認知された子どもは、相続人になります。認知とは、父親が法律上の親子関係を認めることです。対象は、結婚していない男女の間に生まれた子どもです。また、相続分は、結婚している夫婦の間に生まれた子どもと同じです。相続分とは、法律で決められた取り分のことです。

そのため、遺産分割協議には、認知された子どもにも参加してもらう必要があります。遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方を決める話し合いです。なお、ご家族が知らないうちに認知がされているケースもあります。そのため、相続が始まったら、まず戸籍で相続人を確認することが大切です。

認知された子どもがいる相続のイメージ

認知された子どもは、相続でどう扱われる?

そもそも「認知」とは?

認知とは、父親が「自分の子である」と法律上認める手続きです(民法779条)。対象は、結婚していない男女の間に生まれた子どもです。まず、役所に認知届を出す方法があります。また、遺言で認知する方法や、裁判で認知を求める方法もあります。

認知がされると、父親の戸籍と子どもの戸籍の両方に、その事実が記載されます。また、認知の効力は子どもが生まれた時にさかのぼります(民法784条)。つまり、法律上は生まれた時から父親の子として扱われます。

認知された子どもの相続順位は?

認知された子どもは、父親の「子」として第1順位の相続人になります(民法887条)。また、父親に配偶者がいれば、配偶者と一緒に相続人となります。

認知された子どもの相続分は、ほかの子どもと違う?

以前は、結婚していない男女の間に生まれた子どもの相続分に差がありました。具体的には、ほかの子どもの半分とされていました。しかし、2013年(平成25年)に最高裁判所の判断が出ました。これを受けて民法が改正され、現在は同じ割合になっています。なお、改正後の規定は、2013年9月5日以後に開始した相続に適用されます。

たとえば、亡くなった方に妻と子ども2人がいて、うち1人が認知された子どもだとします。この場合、法定相続分は次のとおりです。

  • 妻:2分の1
  • 妻との間の子ども:4分の1
  • 認知された子ども:4分の1

遺留分も認められる?

認知された子どもには、遺留分も認められます。遺留分とは、遺言の内容にかかわらず、一定の相続人に保障される最低限の取り分です。子どもの遺留分は、まず全体の遺留分を2分の1とします。そこに、その子の法定相続分をかけて計算します。上の例では、認知された子どもの遺留分は「2分の1×4分の1=8分の1」です。

認知された子どもの相続は、どんな場面で問題になりやすい?

家族が認知を知らなかったときは?

相続手続きでは、亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの戸籍をすべて集めます。その過程で、ご家族が知らなかった認知の記載が見つかることがあります。認知は、家族に知られずに行われているケースもあるためです。

突然のことで戸惑うのは自然なことです。しかし、認知された子どもを除いて相続手続きを進めることはできません。

遺言で対策していても、遺留分を請求されることは?

当事務所にご相談いただいたケースをご紹介します。なお、特定されないよう、内容を一部変えています。

状況:ご家族は、亡くなった方に認知している子どもがいると聞いていました。そこで、対策として遺言も作成されていました。ところが相続が始まると、認知された子どもから遺留分を請求されました。

対応:まず財産目録を作成しました。財産目録とは、亡くなった方の財産と負債を一覧にした表です。次に、遺留分侵害額を計算しました。遺留分侵害額とは、遺言によって遺留分が不足している金額です。そのうえで、金銭で清算しています。

遺言があっても、遺留分まではなくせません。そのため、遺言を作る段階から遺留分を考えておくことが大切です。

会社の株式を持っていたときは?

中小企業の経営者が亡くなった場合、自社の株式も遺産になります。認知された子どもも相続人として、株式の分け方の話し合いに加わります。また、遺産分割が終わるまで、株式は相続人全員の共有の状態になります。そのため、会社の意思決定に影響が出ることもあります。

亡くなった後に認知されたときは?

遺言による認知や、父親の死亡後に裁判で認知を求める方法(死後認知)もあります。ただし、死後認知の訴えには期限があります。父親の死亡の日から3年以内に起こす必要があります(民法787条)。また、遺産分割が終わった後に認知される場合もあります。この場合、その子どもは、相続分に応じた金銭の支払いを請求できます。請求する相手は、ほかの相続人です(民法910条)。

認知された子どもがいる相続の手続きは、どんな流れで進める?

相続人の確定と連絡は、どう進める?

  1. 戸籍を集めて相続人を確定する 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集めます。そして、認知された子どもを含む相続人全員を確認します。なお、2024年3月から「戸籍の広域交付」が始まりました。これにより、本籍地以外の市区町村の窓口でもまとめて戸籍を請求できます。
  2. 財産を調べて財産目録を作る 不動産、預貯金、株式(自社株を含む)、借入金などを一覧にします。遺産分割の話し合いや遺留分の計算の土台になります。
  3. 認知された子どもに連絡する 住所は、戸籍の附票(住所の移り変わりが記録された書類)で調べられます。面識がない場合も多いため、手紙で丁寧に伝えるのが一般的です。具体的には、相続が始まったことと、手続きへの協力のお願いを伝えます。

遺産分割から名義変更までは、どう進める?

  1. 遺産分割協議を行い、協議書を作る 相続人全員で分け方を決め、遺産分割協議書に全員が署名し、実印を押します。印鑑証明書も必要です。なお、遺言がある場合は、原則として遺言の内容に沿って手続きを進めます。
  2. 名義変更を行う 具体的には、不動産の相続登記や、会社の株式の名義書換を行います。相続登記とは、名義を相続人に変える手続きです。さらに、預貯金の解約・名義変更なども行います。

認知された子どもがいる相続で気をつけたいポイントは?

認知された子どもを除いて相続の話し合いをしたら?

遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があります。認知された子どもを除いて話し合った場合、その協議は有効になりません。つまり、やり直しが必要になります。また、登記や銀行の手続きでは、戸籍で相続人全員がそろっていることを確認されます。そのため、途中で止まってしまいます。

遺留分の請求には期限がある?

遺留分は、遺言でもなくすことはできません。また、現在の制度では、遺留分の請求は原則として金銭の支払いを求める形になります。この制度は、2019年7月1日以後に開始した相続に適用されます。

請求できる期間は、相続の開始と遺留分の侵害を知った時から1年です。また、相続開始から10年が経過した場合も請求できなくなります(民法1048条)。請求する側・される側のどちらであっても、早めに財産と金額を整理しておくことが大切です。

相続登記の期限は?

2024年4月1日から、相続登記が義務になりました。相続で不動産を取得したことを知った日から、3年以内の申請が必要です(不動産登記法76条の2)。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。過料とは、行政上の制裁金のことです。相続人の確定や話し合いに時間がかかりそうなときは、早めの準備をおすすめします。

相続放棄を考えるときは?

借金が多い場合などは、相続放棄(相続人にならない手続き)も考えられます。ただし、申立てには期限があります。原則として、自分が相続人になったことを知った時から3か月以内です(民法915条)。申立て先は家庭裁判所です。

気持ちの面での配慮は?

認知された子どもとほかのご家族は、面識がないことも少なくありません。どちらの立場にも、それぞれの事情や思いがあります。最初の連絡の仕方ひとつで、その後の話し合いの進み方が変わることもあります。

専門家に相談したほうがよいのはどんなとき?

次のような場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

司法書士は、戸籍の収集や財産目録の作成をサポートします。さらに、遺産分割協議書の作成、相続登記、会社の株式・登記に関する手続きなどもサポートします。なお、相続税などの税金に関することは、税理士と連携して対応します。また、相続人の間で揉め事になっている場合は、弁護士と連携して対応します。

まとめ:認知された子どもがいる相続で大切なことは?

  • 認知された子どもは第1順位の相続人で、相続分はほかの子どもと同じです
  • 遺産分割協議には、認知された子どもにも参加してもらう必要があります
  • 遺言があっても、認知された子どもには遺留分が認められます
  • 家族に知られずに認知されていることもあるため、まず戸籍で相続人を確認しましょう
  • 遺留分の請求や相続登記には期限があります

岡山市の司法書士法人SORAでは、認知された子どもがいる相続についてのご相談をお受けしています。認知された子どもがいる相続でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

よくある質問は?

Q1. 認知された子どもの相続分は、ほかの子どもより少ないのですか?

いいえ、現在は同じです。以前は半分とされていました。しかし、民法の改正により、結婚している夫婦の間に生まれた子どもと同じ割合になりました。

Q2. 認知された子どもに財産を渡さない内容の遺言は、有効ですか?

遺言そのものは有効になり得ます。ただし、認知された子どもには遺留分があります。そのため、遺留分を請求されれば、遺留分侵害額を金銭で支払う必要が出てきます。遺言を作る段階で、遺留分を踏まえた内容にしておくことが大切です。

Q3. 認知された子どもと連絡が取れない場合は、どうすればよいですか?

まずは戸籍の附票で住所を調べ、手紙で連絡するのが一般的です。一方、所在がまったく分からない場合もあります。その場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てる方法があります。不在者財産管理人とは、行方が分からない人に代わって財産を管理する人です。選任後は、その人を交えて遺産分割協議を行います。

※事例は実際のご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一部変更しています。

この記事の監修者

柚木 徹也(ゆのき てつや)
司法書士法人SORA 代表/司法書士

  • 岡山県司法書士会所属 第861号
  • 簡裁訴訟代理認定番号 第1112075号
  • 得意分野:相続・遺言・不動産取引

香川大学法学部法学科卒業。2011年に司法書士試験に合格し、神戸の司法書士法人で相続手続き・不動産登記を中心に、商業登記・債務整理・遺言執行など幅広い業務に携わる。2016年に地元へ戻り個人事務所を開設、2021年8月に司法書士法人SORAを開設。「士業に相談するハードルを下げたい」という思いから、税理士など他士業と連携し、相談から手続きまで伴走できる体制づくりに取り組んでいる。

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