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相続した預金・証券の手続きはどうする?流れと必要書類を司法書士が解説

亡くなった方の預金・証券の相続手続きはどうする?

亡くなった方の預金や証券は、相続人が金融機関ごとに「相続手続き」を行います。具体的には、解約・払戻しや名義変更をします。手続きの流れやかかる期間は、金融機関によってさまざまです。しかし、求められる書類はほとんど共通しています。金融機関が多い、平日に窓口へ行けない、遠方の口座があるといった場合もあるでしょう。その場合は、司法書士に代行を依頼することもできます。司法書士法人SORAでは、単発の解約手続きを代行しています。費用は、1金融機関あたり5万円(税抜)です。なお、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成は含みません。

預金の相続手続きのイメージ

そもそも預金・証券の相続手続きはどう進む?

金融機関は、口座の名義人が亡くなったことを知ると、その口座の入出金を止めます。これが、いわゆる「口座凍結」です。そのため、凍結された預金は、相続手続きを終えるまで原則として引き出せません。

預金は、「遺産分割協議」の対象になるとされています。遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方を決める話し合いです。そのため払戻しは、遺言書があればその内容に沿って行います。一方、遺言書がなければ相続人全員の合意が必要です。具体的には、遺産分割協議書にもとづいて手続きをするのが基本です。

なお、葬儀費用などで急ぎお金が必要になることもあります。そのような場合に備えて、「預貯金の仮払い制度」があります(民法909条の2)。この制度では、遺産分割の前でも一定額までは相続人が単独で払戻しを受けられます。ただし、上限は1金融機関あたり150万円です。

証券はどうなる?

証券(株式・投資信託など)は、相続人名義の口座へそのまま移す「移管」が一般的です。売却して現金で受け取るより、こちらの方法がよく取られます。そのため、相続人が証券会社に口座を開く必要がある場合があります。

預金の相続手続きに必要な書類は?

金融機関で共通して求められることが多い書類は、次のとおりです。

  • 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本(家族関係を証明する公的な書類)
  • 相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書
  • 遺産分割協議書、または遺言書
  • 各金融機関所定の相続手続き依頼書(「相続届」などと呼ばれます)
  • 法定相続情報一覧図(戸籍の代わりに使える法務局の証明書。後述)

実際にはどんな相談が多い?

当事務所には、次のようなご相談が寄せられています(内容は一部変えています)。

  • 金融機関の数が多く、平日に窓口へ行く時間がとれない。 亡くなった方は、複数の銀行に口座をお持ちでした。しかし、仕事をしながら一つずつ回るのは難しいというご相談です。そこで、各金融機関での解約手続きを当事務所が代行しました。
  • 口座が県外の金融機関にある。 近くに支店がなく、郵送や遠方への来店が負担になるというご相談です。そこで、相続人に代わって当事務所が手続きを進めました。
  • 相続人が多く、手続き全体をまとめて任せたい。 預金だけでなく、証券も含めた相続手続き一式のご依頼です。そこで、「遺産承継業務」としてお受けしました。遺産承継業務とは、相続人の代理で遺産の手続きを一括して行う業務です。具体的には、遺産の調査から解約・名義変更・分配までを行います。

手続きが多い金融機関は?

岡山県内では、次の金融機関でのお手続きが多くあります。具体的には、中国銀行、トマト銀行、おかやま信用金庫、JA、ゆうちょ銀行などです。ただし、書類は同じでも、窓口の予約方法や書類の様式は金融機関ごとに違います。この点に注意が必要です。

預金の相続手続きはどんな順番で進める?

一般的な流れは次のとおりです。ただし、細かな順番や必要書類は金融機関によって異なります。そのため、最初に各金融機関へ確認しておくと安心です。

具体的なステップは?

  1. 金融機関へ死亡を連絡する。 この時点で口座が凍結されます。また、相続手続きの案内書類も受け取ります。
  2. 財産の内容を確認する。 必要に応じて、「残高証明書」を取り寄せます。残高証明書とは、亡くなった日時点の残高を金融機関が証明する書類です。また、証券会社では保有している銘柄や数量を確認します。
  3. 戸籍を集める。 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍と、相続人の戸籍をそろえます。さらに、法定相続情報一覧図をとっておくと、その後の手続きが楽になります。
  4. 遺産の分け方を決める。 遺言書があればその内容に従います。遺言書がなければ、相続人全員で話し合います。そして、遺産分割協議書を作成し、全員が実印で押印します。
  5. 各金融機関に書類を提出する。 所定の相続届に記入し、戸籍・協議書・印鑑証明書などを添えて提出します。
  6. 払戻し・名義変更を受ける。 預金は指定口座へ入金され、証券は相続人の口座へ移管されます。なお、書類提出から完了までの期間は金融機関ごとに異なります。

預金の相続手続きで気をつけるポイントはどこ?

スケジュールを組んでおく。 金融機関ごとに手続きの流れや時間のかかり方が違います。特に複数の口座がある場合は、あらかじめ予定を立てておくことが大切です。たとえば、どの金融機関から、どの書類を使って進めるのかを決めておきます。

書類はどう準備する?

戸籍は何通も取らなくてよい。 戸籍謄本や遺産分割協議書などの原本は、基本的に返却されます。金融機関がコピーをとって、原本を返してくれるためです。そのため、提出の際に原本の返却を希望すると伝えれば、同じ書類を順番に使い回せます。つまり、金融機関の数だけ戸籍を取り直す必要はありません。

法定相続情報一覧図を活用する。 法定相続情報一覧図とは、相続関係を一覧にした図を法務局が証明してくれる書類です。また、束になった戸籍の代わりに使え、手数料無料で必要な通数を交付してもらえます。そのため、金融機関が多い場合は、複数の窓口で同時に手続きを進めやすくなります。

印鑑証明書の期限に注意する。 「発行から6か月以内」など、印鑑証明書の有効期間を指定する金融機関があります。そのため、手続きが長引くと取り直しが必要になることもあります。

預金を使う前に何に気をつける?

相続放棄を考えているなら預金に手をつけない。 亡くなった方の預金を引き出して使ったとします。その場合、相続を認めた(単純承認)とみなされるおそれがあります(民法921条)。つまり、相続放棄ができなくなるおそれがあります。なお、相続放棄は家庭裁判所へ申し立てて行います。期限は、相続があったことを知った時から3か月以内です(民法915条)。

税金の問題は早めに確認する。 相続税の申告が必要かどうかなど税金に関することは、税理士と連携して対応します。

どんなときに専門家へ相談したほうがいい?

次のような場合は、ご自身だけで進めるのは大変です。そのため、司法書士へ相談したほうが負担を減らせます。

  • 相続預金のある金融機関が多い
  • 平日に金融機関の窓口へ行く時間がとれない
  • 口座が県外など遠方の金融機関にある
  • 相続人が多い、または疎遠な相続人がいる
  • 預金・証券のほかに不動産もあり、相続登記(不動産の名義を相続人に変える手続き)も必要になる
  • 戸籍の収集や遺産分割協議書の作成に不安がある

司法書士は、相続手続きをまとめてお手伝いできます。具体的には、戸籍の収集や法定相続情報一覧図の取得です。さらに、遺産分割協議書の作成、金融機関での手続きの代行、相続登記も行えます。また、相続人の間で意見がまとまらない場合は、弁護士と連携して対応します。相続税については、税理士と連携して対応します。

まとめ:預金・証券の相続手続きはどう進めればいい?

預金・証券の相続手続きは、金融機関ごとに流れが違います。一方で、必要な書類はほとんど共通しています。また、戸籍などの原本は基本的に返却されます。そのため、スケジュールを立てて順番に進めるのがポイントです。あわせて、法定相続情報一覧図も活用しましょう。

金融機関が多い、平日に動けない、口座が遠方にあるといった場合もあるでしょう。また、相続人が多いこともあります。そのような場合は、無理にご自身で抱え込まず、専門家への依頼も検討してみてください。司法書士法人SORAは、岡山を拠点にしています。1金融機関ごとの解約代行に対応しています。さらに、預金・証券を含む相続手続き一式(遺産承継業務)もお受けしています。

預金の相続手続きでよくある質問は?

Q1. 金融機関が5つある場合、戸籍謄本は5通ずつ必要ですか?

A. 必要ありません。戸籍謄本や遺産分割協議書の原本は、基本的に返却されます。そのため、1セットを順番に使い回せます。また、複数の金融機関で同時に進めたい場合もあるでしょう。その場合は、法定相続情報一覧図を取得しておくと便利です。

Q2. 司法書士に解約手続きを頼むと、費用はどのくらいかかりますか?

A. 当事務所では、単発の解約手続きを代行しています。費用は1金融機関あたり5万円(税抜)です。ただし、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成は含まれていません。そのため、必要な場合は別途ご案内します。なお、預金・証券を含めた手続き一式をご希望の場合もあるでしょう。その場合は、遺産承継業務としてご相談ください。

Q3. 葬儀費用を払うために、すぐに預金を引き出すことはできますか?

A. 遺産分割の前でも、「預貯金の仮払い制度」(民法909条の2)を利用できます。この制度を使えば、一定額までは相続人が単独で払戻しを受けられます(上限150万円)。ただし、相続放棄を考えている場合は、引き出す前に専門家へご相談ください。

※事例は実際のご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一部変更しています。

この記事の監修者

柚木 徹也(ゆのき てつや)
司法書士法人SORA 代表/司法書士

  • 岡山県司法書士会所属 第861号
  • 簡裁訴訟代理認定番号 第1112075号
  • 得意分野:相続・遺言・不動産取引

香川大学法学部法学科卒業。2011年に司法書士試験に合格し、神戸の司法書士法人で相続手続き・不動産登記を中心に、商業登記・債務整理・遺言執行など幅広い業務に携わる。2016年に地元へ戻り個人事務所を開設、2021年8月に司法書士法人SORAを開設。「士業に相談するハードルを下げたい」という思いから、税理士など他士業と連携し、相談から手続きまで伴走できる体制づくりに取り組んでいる。

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