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相続登記を何十年も放置した不動産はどうする?戸籍調査と家督相続

何十年も放置した不動産の相続登記は、結局どうする?

相続登記を何十年も放置した不動産は、まず戸籍をすべて取り寄せます。そして、相続人(亡くなった方の財産を受け継ぐ権利がある人)を一人残らず確定させます。

知らない相続人や、疎遠になっている相続人にも連絡をとります。全員の合意を得て、名義を変えていくケースが多くあります。

ただし、亡くなった日付が古いと「家督相続」が適用される場合があります。家督相続とは、戦前の制度で、原則として家を継ぐ1人がすべての財産を受け継ぐ仕組みです。この場合は、思ったほど相続人が増えていないこともあります。相続人も取り分も、いつ亡くなったかによって変わります。そのため、まずは日付の確認が出発点です。

そもそも、昔の相続はどう考えればいい?

相続登記はしなくても大丈夫だった?

相続登記とは、亡くなった方名義の土地や建物を、相続人の名義に変える手続きです。以前は期限がなかったため、相続登記が放置されたままの不動産がたくさんあります。

しかし、2024年4月1日から相続登記は義務になりました。相続で不動産を取得したことを知った日から、3年以内に申請する必要があります(不動産登記法76条の2)。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料(行政上の制裁金)の対象となります(同法164条)。

このルールは、2024年4月より前に起きた相続にも適用されます。すでに相続が起きている不動産は、原則として2027年3月31日までの申請が必要とされています。

制度の詳細は、法務省の相続登記の義務化特設ページでも確認できます。

相続登記を放置すると、なぜ相続人が増える?

名義人が亡くなったあと、その相続人も亡くなることがあります。すると、さらにその子どもや配偶者へと権利が引き継がれます。これを「数次相続」(相続が何代にも重なっている状態)といいます。

何十年も経つと、子・孫・おい・めいへと相続人が広がります。顔も知らない親戚が相続人になっていることも、珍しくありません。

亡くなった日付でルールはどう変わる?

相続には、亡くなった時点の法律が適用されます。主な区切りは次のとおりです。

  • 1947年(昭和22年)5月2日まで:旧民法の「家督相続」。原則として家督相続人1人が受け継ぐ
  • 1947年5月3日〜同年12月31日:応急措置法(新しい民法ができるまでのつなぎの法律)による相続
  • 1948年1月1日〜1980年12月31日:現在の民法。配偶者と子が相続人なら、配偶者の取り分は3分の1
  • 1981年1月1日以降:配偶者と子が相続人なら、配偶者の取り分は2分の1

つまり、同じ「祖父名義の土地」でも、亡くなった時期で結果が変わります。戦前か戦後かで、相続人の顔ぶれも法定相続分(法律で決められた取り分)も大きく変わります。

実際にはどんなケースがある?

先々代の名義のまま、どう進めた?

当事務所でお受けしたご相談をご紹介します(内容は一部変更しています)。先々代(祖父母の世代)の名義のままになっていた、不動産の相続登記のご依頼です。

まず戸籍を調査して、相続人を確定させました。調べてみると、名義人の相続は家督相続であったことがわかりました。そのため、相続人は意外と少なかったのです。

そこで、相続人全員に連絡をとりました。法定相続割合に応じた金銭をお渡しすることで、合意をいただきました。その結果、手続きを進めることができました。

知らない相続人がいたらどうする?

古い相続では、知らない相続人に連絡をとるケースが多くあります。長く疎遠になっている相続人も同様です。相手にとっては突然の連絡になるため、事情を丁寧に説明することが大切です。

放置した相続登記は、どんな流れで進める?

  1. 名義人を確認する:法務局で登記事項証明書(不動産の持ち主などが記録された書類)を取ります。誰の名義になっているかを確認します。
  2. 戸籍をすべて集める:名義人の生まれてから亡くなるまでの戸籍を集めます。亡くなった相続人それぞれの戸籍も必要です。古い戸籍は手書きのため、読みにくいものです。改製原戸籍(制度変更前の古い様式の戸籍)までさかのぼる必要があります。
  3. 適用されるルールを確認する:亡くなった日付ごとに、家督相続か、現在の民法か、どの時期の法定相続分かを判断します。
  4. 相続関係説明図を作る:誰が相続人で、どのようにつながっているかを図にまとめます。
  5. 相続人に連絡する:手紙などで事情を説明し、手続きへの協力をお願いします。
  6. 遺産分割協議をする:遺産分割協議(相続人全員で誰が何を受け継ぐか決める話し合い)を行います。合意内容を書面にして、全員に署名と実印の押印をしていただきます。
  7. 法務局に登記を申請する:必要書類をそろえて申請し、名義の変更が完了します。

相続登記の放置で注意すべき点は?

「昔の相続だから相続人が大勢いる」とは限らない?

家督相続であれば、そこまで相続人が増えないケースもあります。古い名義だからといって、最初からあきらめる必要はありません。ただし、家督相続のあとに起きた相続には、現在の民法が適用されます。そのため、途中から相続人が広がることもあります。

亡くなった日付はなぜ大切?

亡くなった年月日によって、相続人となる人の範囲や法定相続分が異なります。兄弟姉妹が相続人になる場合も、時期によって違いがあります。おい・めいの子まで権利が及ぶかどうかが、時期で異なるのです。日付を一つ読み違えるだけで、相続人の確定をやり直すことになりかねません。

相続登記を放置し続けるとどうなる?

相続登記を放置する期間が長いほど、相続人が亡くなっていきます。その分だけ、相続人が増えていきます。連絡先の調査や話し合いの負担も大きくなります。そのため、気づいた時点で動き出すことが大切です。

話し合いに時間がかかりそうな場合は?

期限内に話し合いがまとまらない場合に備えた制度もあります。それが「相続人申告登記」(自分が相続人であることを法務局に申し出る簡易な手続き)です。申し出ることで、相続登記の義務を果たしたものとみなされます。ただし、名義そのものは変わりません。そのため、最終的には遺産分割協議と相続登記が必要です。

放置した相続登記は、どんなときに専門家へ相談する?

次のような場合は、早めに司法書士へご相談ください。

  • 名義人が祖父母やそれより前の世代になっている
  • 名義人が亡くなった日付がわからない、または戦前・戦後すぐに亡くなっている
  • 相続人の中に、会ったことがない人や連絡先がわからない人がいる
  • 相続人の中に、すでに亡くなっている人が何人もいる
  • 古い戸籍が読めない、どこまで集めればよいかわからない
  • 会社の経営者で、事業に使っている土地や建物が先代の名義のままになっている

なお、相続税などの税金や相続人同士の揉め事は、税理士・弁護士と連携して対応します。

岡山市の司法書士法人SORAでは、戸籍の調査からご相談をお受けしています。相続人への連絡のサポート、登記の申請までご相談いただけます。

放置した相続登記は、まず何から始めればいい?

何十年も相続登記を放置した不動産は、まず戸籍をすべて調べます。そして、相続人を確定させるところから始まります。

  • 相続登記は2024年4月から義務になり、過去の相続も対象です
  • 亡くなった日付によって、相続人の範囲や法定相続分が変わります
  • 家督相続であれば、相続人が思ったほど多くないこともあります
  • 相続登記を放置するほど相続人が増え、手続きの負担が大きくなります

まずは登記事項証明書で、名義人を確認してみてください。そして、「いつ亡くなったか」を把握してみてください。ご自身で進めるのが難しいと感じることもあるでしょう。その場合は、岡山の司法書士法人SORAまでお気軽にご相談ください。

よくある質問は?

Q1. 一度も会ったことのない相続人がいても、手続きはできる?

できます。まず、戸籍の調査で相続人を確定させます。そのうえで、戸籍の附票(住所の移り変わりが記録された書類)などで住所を調べます。そして、手紙で連絡をとるのが一般的です。古い相続では、知らない相続人や疎遠な相続人に連絡をとるケースが多くあります。

Q2. 家督相続だった場合、手続きは簡単になる?

相続人が少なく済むケースがあります。ただし、家督相続人がその後に亡くなっている場合もあります。その相続には現在の民法が適用されるため、そこから先の相続人の確認が必要です。亡くなった日付ごとに、どのルールが適用されるかを確認することが大切です。

Q3. 期限までに相続人全員の合意が得られない場合はどうする?

「相続人申告登記」を利用する方法があります。これで、ひとまず相続登記の義務を果たしたものとみなされます。その間に、相続人の皆さまとの話し合いを進めていく方法が考えられます。話し合いがまとまらず争いになっている場合は、弁護士と連携して対応します。

※事例は実際のご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一部変更しています。

この記事の監修者

柚木 徹也(ゆのき てつや)
司法書士法人SORA 代表/司法書士

  • 岡山県司法書士会所属 第861号
  • 簡裁訴訟代理認定番号 第1112075号
  • 得意分野:相続・遺言・不動産取引

香川大学法学部法学科卒業。2011年に司法書士試験に合格し、神戸の司法書士法人で相続手続き・不動産登記を中心に、商業登記・債務整理・遺言執行など幅広い業務に携わる。2016年に地元へ戻り個人事務所を開設、2021年8月に司法書士法人SORAを開設。「士業に相談するハードルを下げたい」という思いから、税理士など他士業と連携し、相談から手続きまで伴走できる体制づくりに取り組んでいる。

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