司法書士法人

086-242-6866

[平日]9:00〜18:00
[土日祝]10:00〜16:00

News

新着情報

農地を相続したらどうする?名義変更・届出・手放す方法を解説

農地を相続したら、まず何をすればいい?

農地を相続したら、まず法務局で相続登記を行います。相続登記とは、不動産の名義を亡くなった方から相続人へ変える手続きです。相続登記は2024年4月から義務になっており、農地も対象です。登記が終わったら、次に農地のある市町村の農業委員会へ届出をします。農業委員会とは、農地の利用や権利の動きを管理する市町村の機関です。一方、農地を手放したい場合の方法もあります。たとえば、相続放棄・売却・贈与・相続土地国庫帰属制度の利用です。

岡山でも、農地の相続に関するご相談は少なくありません。たとえば「遠方に住んでいて管理できない」「できれば手放したい」などです。そこでこの記事では、農地を相続したときの手続きを解説します。あわせて、手放したい場合の選択肢もわかりやすく紹介します。

農地の相続では、どんなルールが関係するの?

農地の相続では、2つの手続きが求められます。法務局での「相続登記」と、農業委員会への「届出」です。つまり、宅地や建物の相続と違い、登記だけでは終わりません。この点が、農地の大きな特徴です。

相続登記はいつまでにすればいい?

この登記には期限があります(不動産登記法76条の2)。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する義務があります。正当な理由なく申請しないと、10万円以下の過料の対象になります。過料とは、行政上のペナルティとして科されるお金です。

2024年4月1日より前に発生した相続も対象です。この場合、原則として2027年3月31日までに登記を申請する必要があります。

農業委員会への届出はいつまでにすればいい?

相続で農地を取得した人には、届出の義務があります(農地法3条の3)。届出先は、農地のある市町村の農業委員会です。

なお、相続による取得そのものには、農業委員会の「許可」は必要ありません。許可が必要になるのは、売買や贈与で農地の持ち主を変える場合です(農地法3条)。

山林を相続した場合も届出は必要?

山林(森林)を相続した場合も、森林法に基づき市町村長への届出が必要です。農地と山林を一緒に相続するケースも多いため、あわせて確認しておきましょう。

相続した農地は放っておいてもいい?

農地は、相続した後も適切に管理することが求められます。耕作しないまま放置すると、雑草や害虫が隣の農地に影響を与えることがあります。そのため、自分で管理できない場合は早めの検討が大切です。「誰が管理するか」「手放すか」を考えておきましょう。

実際には、どんな相談が多いの?

よくあるケースを、当事務所に寄せられたご相談から紹介します。なお、内容は一部変更しています。

県外に住んでいて農地を管理できない場合はどうする?

農地を相続したものの、ご本人は県外にお住まいでした。そのため、農地を適切に管理することが難しいというご相談です。このケースでは、隣の土地の所有者の方と交渉を行いました。そして、無償で贈与(ただで譲ること)する形で農地を引き継いでいただきました。なお、農地を贈与する場合は、農業委員会の許可を得たうえで名義変更を行います。

相続した農地の場所がわからない場合はどうする?

「相続した農地がどこにあるのかわからない」というご相談もあります。このケースでは、まず当事務所で法務局の資料(公図など)を調べました。公図とは、土地のおおよその位置や形を示した図面です。さらに、グーグルマップなども使って場所を特定しました。昔からの農地は、地番だけでは現地がわかりにくいことがよくあります。

相続した農地を手放したい場合はどうする?

「農地はいらないので手放したい」というご相談も多くあります。考えられる方法は、主に次の4つです。

  • 相続放棄:はじめから相続人でなかったことにする手続きです。家庭裁判所に申し立てて行います。ただし、農地だけを放棄することはできません。預貯金なども含め、すべての財産を放棄することになります。
  • 売却:農地のまま売る場合、買い手は農業を営む人などに限られます。また、農業委員会の許可も必要です。
  • 贈与:隣の土地の所有者など、引き受けてくれる人に無償で譲る方法です。売却と同じく農業委員会の許可が必要です。
  • 相続土地国庫帰属制度:国に土地を引き取ってもらう制度です(相続土地国庫帰属法)。一定の要件を満たし、負担金を納めることが条件です。

どの方法にもそれぞれハードルがあります。そこで当事務所では、ご相談のたびに農地の状況やご家族の事情をうかがいます。そのうえで、その都度適切な対処方法をご提案しています。

手続きは、どんな順番で進めればいい?

農地を相続したときの手続きは、おおむね次の流れで進みます。

  1. 相続人と財産を確認する:まず、戸籍を集めて相続人を確定します。次に、固定資産税の納税通知書や名寄帳で、どこにどんな農地があるかを確認します。名寄帳とは、同じ所有者の土地・建物をまとめた一覧です。
  2. 相続するか、放棄するかを決める:相続放棄には期限があります。原則として、相続があったことを知った時から3か月以内です(民法915条)。期限内に、家庭裁判所へ申し立てます。
  3. 遺産分割協議をする:誰がどの財産を引き継ぐかを、相続人全員で話し合って決めます。決まった内容は遺産分割協議書にまとめます。
  4. 法務局で相続登記をする:農地の名義を、引き継ぐ人に変更します。
  5. 農業委員会へ届出をする:登記が終わったら、農業委員会に届出をします。また、山林がある場合は、市町村への届出も行います。
  6. 今後の管理方法を決める:最後に、農地をどうするかを決めます。選択肢は、自分で管理する、人に貸す、売却・贈与するなどです。国庫帰属制度を利用する方法もあります。

手放す場合も、まず相続登記が必要?

なお、手放すことを考えている場合でも、まず相続登記を済ませます。売却・贈与・国庫帰属制度は、いずれも登記の後に進めるのが基本です。

どんな点に注意すればいい?

法務局で名義変更できたら、それで終わり?

いいえ。農地は、法務局での名義変更(相続登記)の後に、農業委員会への届出が必要です。農地のほか、山林も届出の義務があります。必要な場合は、当事務所から提携の行政書士に届出の代行をお願いすることも可能です。

農地は国に返せばいいのでは?

通常、国は土地を引き取ってくれません。ただし、相続土地国庫帰属法を利用する方法があります。要件に当てはまれば、管理費用を負担して国に引き取ってもらえることがあります。

主な要件は、次のような条件です。

  • 建物が建っていない
  • 担保(抵当権など)が付いていない
  • 境界がはっきりしている
  • 土壌汚染がない

費用は、まず申請時に審査手数料がかかります。金額は、土地1筆(登記上の土地の単位)あたり14,000円です。さらに、承認後には負担金が原則20万円かかります。ただし農地は、場所によって面積に応じて負担金が計算される場合があります。

相続放棄はいつでもできる?

できません。相続放棄には、原則として3か月以内という期限があります。期限は、相続があったことを知った時から数えます。また、放棄すると農地だけでなく、すべての財産を引き継げなくなります。さらに、相続の権利は次の順位の相続人に移ります。たとえば、亡くなった方の兄弟姉妹などです。そのため、ご親族への影響も含めて検討が必要です。

農地は自由に売ったり譲ったりできる?

農地を農地のまま売ったり贈与したりするには、許可が必要です。許可を出すのは農業委員会です(農地法3条)。つまり、許可がないと名義変更の登記ができません。買い手や譲り先が見つかっても、すぐに手続きできるとは限りません。この点に注意しましょう。

どんなときに専門家へ相談したほうがいい?

次のような場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

  • 相続人が多い、または連絡が取れない相続人がいる
  • 相続した農地の場所や筆数(土地の数)がわからない
  • 県外に住んでいて、農地を管理することが難しい
  • 農地を手放したいが、どの方法が合っているかわからない
  • 相続放棄の期限(3か月)が近づいている
  • 相続登記や農業委員会への届出の期限が過ぎてしまっている

当事務所では、相続登記のほか、法務局の資料を使った農地の調査を行っています。また、農地を手放す方法のご提案も行っています。なお、農業委員会への届出は、提携の行政書士と連携して対応します。さらに、相続税や相続人どうしの揉め事は、税理士・弁護士と連携して対応します。岡山の農地の相続でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

結局、農地を相続したらどうすればいい?

農地を相続したら、まず法務局で相続登記を行い、その後に農業委員会へ届出をします。相続登記は取得を知った日から3年以内です。また、山林を相続した場合は、市町村への届出も忘れないようにしましょう。

農地を手放す方法には、相続放棄・売却・贈与・国庫帰属制度があります。ただし、どれにも期限や許可、要件といったハードルがあります。「場所がわからない」「管理できない」といった段階でも構いません。早めにご相談いただくことで、選べる方法が広がります。

よくある質問は?

Q1. 農家でなくても農地を相続できる?

はい、できます。相続による農地の取得には、農業委員会の許可が不要です。そのため、農業をしていない方でも相続できます。ただし、相続後は農業委員会への届出と、農地の適切な管理が求められます。

Q2. 遺産分割の話し合いがまとまらないと、相続登記の義務は果たせない?

話し合いがまとまらない場合は、「相続人申告登記」を利用する方法があります。これは、自分が相続人であることを法務局に申し出る簡単な手続きです。申し出をすると、相続登記の申請義務を果たしたものとみなされます。その後、遺産分割がまとまったら、あらためて相続登記を行います。

Q3. 農業委員会への届出は自分でできる?

ご自身で届け出ることもできます。届出書の様式は、各市町村の農業委員会で入手できます。不安な場合は、当事務所から提携の行政書士に代行をお願いすることも可能です。

※事例は実際のご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一部変更しています。

この記事の監修者

柚木 徹也(ゆのき てつや)
司法書士法人SORA 代表/司法書士

  • 岡山県司法書士会所属 第861号
  • 簡裁訴訟代理認定番号 第1112075号
  • 得意分野:相続・遺言・不動産取引

香川大学法学部法学科卒業。2011年に司法書士試験に合格し、神戸の司法書士法人で相続手続き・不動産登記を中心に、商業登記・債務整理・遺言執行など幅広い業務に携わる。2016年に地元へ戻り個人事務所を開設、2021年8月に司法書士法人SORAを開設。「士業に相談するハードルを下げたい」という思いから、税理士など他士業と連携し、相談から手続きまで伴走できる体制づくりに取り組んでいる。

司法書士法人SORA|〒700-0977 岡山市北区問屋町11-106 TOIYACHO BOOTH BLD 306号|TEL 086-242-6866
代表プロフィール・事務所概要を見る